ケガのお悩み
ケガのお悩み

お子さまが元気に走り回ったり遊んだりしているときに転んでしまい、お口を強く打って血が出ると、親御さまはとても慌ててしまいますよね。お口の中は血管が多いため、小さなキズであっても唾液と混ざって大量に出血しているように見えることがあります。まずは落ち着いて、清潔なガーゼやティッシュペーパーで出血している場所を優しく押さえて圧迫止血を行いましょう。多くの場合、数分間優しく押さえることで出血は自然と落ち着いてきます。血が止まったら、キズの大きさを確認するとともに、歯がグラグラしていないか、折れていないかを観察してください。ぶつけた直後は見た目に変化がなくても、歯の根っこが折れていたり、後から歯の神経が死んで黒ずんできたりすることがあります。自己判断で様子を見ずに、一度小児口腔外科の視点からしっかりと精密な検査を受けることが大切です。
転倒などの衝撃によって、ぶつけた前歯がグラグラと大きく揺れていたり、元あった場所から内側や外側に斜めにズレてしまったりすることがあります。これは、歯を支えているあごの骨の組織(歯根膜)がダメージを受けている状態です。位置がズレているからといって、おうちで無理に指で押して元の位置に戻そうとするのは非常に危険ですので絶対にやめてください。また、お子さまが気にして指やベロで触らないように優しく声をかけてあげましょう。当院では、ズレてしまった歯を元の正しい位置へと優しく戻し、隣の健康な歯と歯科用の専用の材料で一時的に固定する治療を行います。数週間ほど固定してあごの骨の回復を待つことで、歯を抜かずに残せる可能性が高まります。生え変わりを控えた大切な乳歯や、生えたての永久歯を守るためにも、できるだけ早い受診をお勧めします。
お友達とぶつかったり、家具の角に顔を打ったりして、前歯の先端が欠けてしまったり、大きく折れてしまったりするトラブルです。もし折れてしまった歯の破片が見つかった場合は、捨てずに回収して当院へ一緒にお持ちください。破片の状態が良く、乾燥していなければ、歯科用の接着剤を使って元の歯にきれいにくっつけられることがあります。破片を持ち運ぶ際は、乾燥を防ぐために「牛乳」に入れるか、お近くの薬局で買える「歯の保存液」に浸しておくのがベストです。水洗いをしてゴシゴシこすってしまうと、接着に必要な組織が傷ついてしまうため避けてください。歯が大きく折れて神経が露出している場合は、冷たい風や水が激しく染みてお子さまが痛がります。当院では痛みを速やかに取り除く優しい処置を行い、破片の接着や白いプラスチックを用いた美しい修復治療を行います。
強い衝撃によって、前歯が根っこから丸ごと1本ポロッと抜けてしまうことがあります。この場合、何よりも重要なのは「1分1秒でも早い初動」です。抜けてしまった歯の根っこには、歯を再びあごの骨に植立させるために不可欠な組織(歯根膜)が付着しています。この組織は乾燥に非常に弱いため、水道水で洗ったり、ティッシュに包んで乾燥させたりすることは避けてください。抜けた歯を見つけたら、すぐに牛乳か歯の保存液に浸し、できれば30分以内、遅くとも1時間以内に当院へお持ちください。最優先で受け入れを行い、歯を元の場所に戻して固定する再植治療を行います。もし抜けた歯がどこを探しても見つからない場合は、お口の中に残っていないか、あるいは飲み込んでいないかをレントゲン等で確認する必要がありますので、いずれにしてもすぐにご連絡ください。
ケガをした直後は特に問題がなさそうに見え、出血やグラグラも収まっていたのに、数週間から数ヶ月ほど経ってから、ぶつけた歯がだんだん茶色や黒っぽく変色してくることがあります。これは、ぶつけたときの強い衝撃によって歯の内部の細い血管や神経が切れてしまい、時間の経過とともに神経が死んでしまっているサインです。放置すると、歯の根っこの先でバイ菌が繁殖し、ウミの袋を作って歯茎がぷっくりと腫れてきてしまうこともあります。特に乳歯の神経の死を放置すると、その近くで育っている大切な永久歯の発育や生え方に悪影響を及ぼす恐れがあります。歯の色が変わってきたと気づいたら、お痛みがなくても早めに当院へお越しください。次に控えている永久歯を守るためにも、精密な治療を行います。
よちよち歩きの赤ちゃんや小さなお子さまが顔をぶつけたとき、上の前歯の歯茎と上唇をつないでいる「上唇小帯(じょうしんしょうたい)」というすじを引っかけて切ってしまうケースが非常に多いです。この場所は皮膚が薄く、血管が豊富に通っているため、切れると一気に強い出血が起こり、親御さまを驚かせます。まずは清潔なガーゼを上唇の裏側に挟み込み、上から指で優しく5分ほど圧迫して止血を行ってください。多くの場合はこれによって血が止まります。すじが切れてしまっても、成長とともに自然とつながったり、形が整ったりすることが多いため、過度に心配しすぎる必要はありません。ただし、キズ口が深くてパカパカと大きく開いてしまっている場合や、ハミガキのときに触れると激しく痛がって仕上げ磨きができない場合は、優しく洗浄してキズ口を綺麗に整えるなどの外科的ケアを行います。
ぶつかった衝撃で、歯が折れたり抜けたりするのではなく、あごの骨の方向へ向かってグッと深く押し込まれてしまうことがあります。これを「歯の陥入(かんにゅう)」と呼びます。ひどい場合は、歯の大部分が歯茎の中に完全に埋まってしまい、まるで歯が突然消えてしまったかのように見えるため、親御さまも大変驚かれます。押し込まれた歯の根っこが、その下にある永久歯の芽(歯胚)を傷つけていないかを、レントゲン撮影によって確認することが最優先のステップとなります。乳歯が陥入した場合、永久歯への悪影響が少なければ、あごの骨の成長とともに数ヶ月かけて自然と再び歯の頭がニョキニョキと生えてくるのを経過観察で待つことがあります。しかし、ズレの方向が悪く永久歯を圧迫している場合や、永久歯そのものが嵌入した場合は、お薬を用いて優しく引っ張り出す処置が必要です。
お口のケガや歯のトラブルで当院を受診される際、最も気をつけていただきたいのが、頭や全身への影響です。激しく転んだり、高いところから落ちたりしてお口をケガした場合、頭を強く打って脳震盪(のうしんとう)を起こしている危険性があります。お口の治療を始める前に、お子さまが頭を痛がっていないか、吐き気や嘔吐がないか、ぼんやりして視線が合わないなどの意識障害がないかを必ず確認してください。もしこれらの症状がひとつでも見られる場合は、歯科治療よりも先に脳神経外科や救急外来での受診が最優先となります。当院へ向かう車の中で吐いてしまった場合なども、遠慮なくすぐにお電話でその旨をお伝えください。お口のキズの応急処置を迅速に行いながら、必要に応じて専門の医療機関へのご紹介やスムーズな連携をお手伝いし、お子さまの安全を第一に守ります。
